組織より個人の信頼が生きる時

商店街の活性化、空き店舗や土地の活用の中で、必ず焦点になるのは当然ながら不動産物件、ようするに大家さん、地主さんとの関係づくりである。どんなに大きな組織団体、企業、自治体であっても、大家・地主と関係が築けて居なければ、その場所の活用は難しくなってしまう。

ありがちなのが、自治体の方から上から目線で大家・地主と折衝してしまうと、彼らの機嫌を損ねてしまい、プロジェクトが暗礁に乗り上げてしまうケースだ。特に商店街で長く商売をやってきて、今は空いている場合でも、二階や奥に住んでいたり、住んでいなくとも愛着を持って居ることが多いからなおさらだ。

ここ、富士宮も近年、世界文化遺産の関係もあって色々開発がはじまっているものの、スローペースなのも、そうした課題の解決に時間がかかっているのが原因である。

だが!当人たちからすれば、元々の場所で、日常そこに住んでいるだけの話なので「勝手に自分たちを課題扱い・問題扱いするなよ!」というのが有る種、当然の感情、普通の反応である。下手すれば、気難しい人、やっかいな人というようなレッテルまで勝手に周りが貼ってしまうことさえあり、その状態で「この土地、建物を活用したい」だなんて上から言われた日には、それは、機嫌を損ねるどころの話ではない。(いや、確かに、時には本当に気難しい人、変わった人がいるのも事実では有るのだが)

それでも、地域のビジョンを持って、彼らが大切にしてきた場所をも生かして、何かを成したいのであれば、日頃からの付き合い、コミュニケーションの積み重ねは大事である。当たり前のことかもしれないが、これをすっとばしてしまう人を多く見ている。

そんなときに、組織よりも、個人同士の信頼が、糸口となってすすむプロジェクトもある。 彼らと親しい友人、家族を通じて対話することも重要だろう。結局は、人間社会の最小単位「一人ひとり」なのである。 相手を知って、どのような歴史のある場所なのか、どんな思いなのか、コミュニケーションを重ね、未来への道を開いていく姿勢を一貫して貫ける精神力、体力、そして「真心」を持った人間にこそ、人は心をひらいてくれるのではないだろうか。(田邉元裕)