私欲を横に置く 好奇心

富士宮やきそば学会の、故・渡邉英彦会長は、実に私欲の少ない方であった。そばで活動していて見てきた中で、お金に関しては、入ってきたお金をどんどん、次のプロジェクトの為に再投資したり、富士宮高校会議所の運営資金として寄付したりと、お金について惜しむことがなかったし、お金の苦労話は聞いても、恨み言は言わない方であった。

市民活動としてスタートした富士宮やきそば学会チームも「業界人でないところからはじまった」事が大きなポイント(本人の本業は保険業である)で、直接的な利益を得る事は少なかった。だからこそ、利害関係なく「おもしろきこと」を世にどんどんリリースする事が出来た。

「やきそばじゃなくても良かった」という本人の言葉通り、「やきそば」はまちおこしの手段の一つとして活用しただけなのだ。当初は「お好み焼きでまちおこししよう」というアイディアすらあったくらいだ。

かの、京セラ創業者の稲盛和夫氏も「動機善なりや、私心なかりしか」と、事業を行う際には常にそこを問いかけていたという。渡辺英彦氏の姿勢も、そこに共通するものが感じられる。

がしかし、渡辺英彦氏に私心は無かったのだろうか。いや、あっただろう。

それは「人を楽しませて、にやっとする」そんな知的私心だったと私は感じる。

それはもはや、私心を超えた、好奇心だったともいえる。彼が世に問うた好奇心がどのような結果になったのかは、皆さんのよく知るところである。(田邉元裕)