成功者への妬みが地方を破壊する

テレビゲームでは、何かと勇者・英雄と魔王=ラスボスというモチーフで、対立、対決の構図で、世界を滅ぼそうとする魔王を討伐する旅に出る話は多い。水戸黄門の定番パターン並み。ファンタジー映画なども、ほとんどがこの定番モチーフに基づいている。元々英雄または貴族が事情により放浪し、再びその地位を奪還する話。庶民だったが、成長の過程で使命に気づいたり、きっかけとなる物や人と出会い英雄や英雄の親族となる話など、テンプレートは色んなパターンがある。

余談だが、これら、映画やゲームなど、もはや大衆文化の一つともなった冒険ものストーリーのブレイクの最初になったのは、ご存知「ロード・オブ・ザ・リング」の原作の「指輪物語」だったりする。ホビット、エルフ、人間、魔族、いろんな人種・生物種が登場するのも特徴だ。実に、世界設定がしっかり構築されており、様々なサーガ、伝承ストーリーが内包されており、コアな人気を誇る。

さて、そんな豆知識を入れつつ、突然ファンタジー文学やゲームの話を出したが、そんな英雄たちのその後は、割と切ないことが多い。魔王と共に心中して行方不明になったり、英雄=強すぎて危険分子扱いされて追われる立場になったり、かつての英雄が人間に落胆して逆にダークサイド=闇の面に落ちて逆にいわゆる魔王になったりなど、悲しいエピソードがかなりの割合で存在する。

これは、フィクションだけではなく、実際の人間の世界を反映したものとも言える。地域おこしで成功した人間には、称賛もあるが、妬みや足の引っ張りあいの方が多いことさえある。

妬まれるだけならまだ幸せだ。地域のためにと頑張ってきたはずなのに、ひどい場合は、文字通り蹴落とされたり、人格否定されたり、破壊されたり、挙げ句はその人を核として行ってきた活動が横取りされてしまったりする。そうした魔王の如き暴挙に出たり、横取りするのは「魔王です」と名乗りあげるような、どこかの悪人ではない。

それまで信頼していた身内や友人、パートナーだったり、本来、成功者を称賛しサポートすべき立場である公共団体であったり、組合であったり、する。人の心の中に魔王は巣食っているのである。

どんな事業であれ、全て平等は不可能。そうなると「あいつだけずるい」といったような、妬みを持ち、どうにか足を引っ張ったり、利権を獲得しにやってくる者も多くいる。または、その成功者の恩恵に預かってきたのに、「俺が居たからできたんだ」と豪語して独立したわが道を行く関係者も居たりする。功を奏して成功事例が没落していくさまを安堵してみている心理の者も居たりするから恐怖である。

この辺の心理描写や、あるべき姿勢については、木下斉氏の記事が秀逸なので、ごく一部引用する。原文も長いが素晴らしいので一読いただきたい。

恐ろしいことに、こういう場合、ほとんどのケースでは地元の一部が騒ぎ立て、多くの人は無関心です。仮に事情はわかっていても、頑張っている人が潰されていく姿を、黙って見ていることが多くあります。そこには「自分には関係ない」と無関心を決めこんだり、心のどこかで挑戦者が失敗する姿に安堵したり、成功者がたたきのめされる姿を期待するという心理もあるでしょう。 (中略) 妬みで新たな芽を潰した先に、「地域の未来」などはありません。他人の挑戦を明るく支えられるかどうか。これが、地域の未来を支えるのです。

https://toyokeizai.net/articles/-/244139

私自身も、様々な活動の中で「言われる」事について、自分もこれにはかなり悩んできたし、今も進行形の事もある。しかし、木下氏の言葉通り、妬みで新たな芽、チャレンジ、成功者を潰すような地域に未来など無い。

多くの挑戦者を応援したい、彼らの孤独の挑戦を支えたい、心からそう思っている。また、自らも、挑戦し続けたい。さして儲かりなどしない。さりとて潰れない程度のがけっぷち運営だ。だが、人が喜ぶであろう地域づくり、子どもたちが「このまちっていいね」って思えるような地域づくりをしていくには、何があっても、続けることが重要だと思っている。

成功したら、ありがとう。失敗したらごめんなさい。

はい、それでその場はおしまい。
そして、また、次行こう。楽しく行こう。

成功も失敗も行動した結果の一つでしかない。

私は当然に、大きな人間ではない。むしろ、失敗ばかり、欠点ばかりの小さな人間の一人である。だが、成功者を妬んで足を引っ張ったり、失敗者に鞭打つような、性根の小さな人間には自分は決してならないと誓い、日々を生きている。

そして、反省はするが、懲りて辞めることは無く、常に何かを発信し続けていこうと思う。想像力、人間力、地域力の再生。それが文字通り、この団体の名称でもあり、私のライフワーク、理念とも合致する部分なのである。やらないという選択肢は今の所、無い。(田邉元裕)