酔っ払いのアイディアでも後で「あ、あれは無しね」は無しね。

市民活動の真骨頂は、自由な発想、無限の可能性を踏まえた、活気あるディスカッション、懇親であろう。堅苦しい会議室からは想像的なものは生まれにくい。

でも、あまり動かない地域、組織でありがちなのは、懇親のお酒の席で実に楽しいアイディア、創造的な意見が出てきたのに、後日になって「ああ、あれはお酒の勢いもあって話したことだし、難しいよね。無しで」とか、急にみな保守的、後ろ向きになってしまう事である。

これはいけない。

もちろん、実現できる規模の大小、タイミングはあろうと思うが、ここで一歩踏み込んで、そんな酒の席上のホラ話、大言壮語を、いかに実現できるかをシラフで考え実践するのが、真の市民活動家とも言えよう。

富士宮やきそばも、そうしたコミュニケーションの場から生まれたのは、多くの関係者によって語られている。大言壮語、ダジャレ話を、リアルに実現したことから、ホラ話も、行動すればホラではなくなるのである。故・渡邉英彦会長は「いずれローマのコロッセオで麺のバトルを」と、大言していた。誰もが「そんな事できるわけが」と思っていたであろう。そんなことで言葉を引っ込める渡邉氏ではない。さすがにコロッセオの中ではできなかったが、その外側で、富士宮やきそばローマプロジェクトを成功させてしまった。ローマの日本大使館に勤める方が富士宮出身であり、SNSを通じて富士宮の動きを知ってコンタクトをとってくれたという偶然がきっかけなのであるが、これも「ひっこめず、ホラ話を発信し続けた」からこそ起きた奇跡でもある。少々のことで懲りたり、あきらめてはいけないのである。

富士宮の上野地域で、やはり国際的活動をしているジャーナリストとの懇親の席で「パラオで火事が多く、設備が不足している」という情報を聞きつけた。メンバーには上野地域の関係者が多数おり「それならば、耐用年数を過ぎる予定の消防車があるから、それを贈ったらどうか」と、話したら大いに盛り上がり、彼らは即座に行動し、市に働きかけ許諾を得て、修繕やメンテナンスで地元の自動車関係(修理メンテナンス)、工業関係(現地の仕様にあわせて放水ホースを加工する等)の課題をクリアし、本当にパラオに消防車を贈ってしまった。以後、友好な国際交流が生まれたのは言うまでもない。

同じ上野地域で、上野の里まつりという、酒蔵をハシゴし、牧場まつりとも連携した人気イベントが2019年に10回を迎える。これも、2009年の暮れに「上野地域は近所に酒蔵が2つもあるから、居酒屋のハシゴじゃなく、酒蔵のハシゴやったら面白いよね!」と、 青年事業家・活動家であり、当法人の代表でもある田邉元裕が 上野地区の名士の一人である吉野友勝氏に、忘年会で大いに酔っぱらいながら夢と大いなるホラ話を提言したところから始まったのである。人は年齢を重ねると冒険をしなくなる傾向がある。だが、年齢60を超えていた吉野氏の柔軟さ、フットワーク、創造力は地元では有名で、いやいや、とは言わず、「じゃあやろう。俺が地元のつなぎはやっていく」と、その場で両酒蔵の社長に電話し、一か月強で本当に実現してしまった。

自由な発想、アイディアを「肯定する」姿勢、実際に形にできる人たちが連携して行動する、これらが重要なのである。酒の席での話でも、ホラ話でも、いずれ、リアルになる日が来るのである。(田邉元裕)